泌尿器科とは

泌尿器科イメージ

腎臓から作られた尿が、体外に排出するまでの経路を「尿路」と呼んでいます。
体の中で不要となった老廃物を体外に尿として排出することは、健康的な生活を維持する上でとても大切です。泌尿器科は、この重要な役割を果たしている尿路に生じた様々な病気の治療を専門に行います。さらに、男性においては尿路と密接なかかわりを持っている生殖器の病気や異常についても扱います。

泌尿器疾患の主なお悩み(症状)

  • 尿が漏れる
  • 排尿時の痛みや不快感
  • 排尿の回数が(昼夜・夜のみ)多い
  • 強い尿意を感じ漏れそうになる。または漏れる
  • 排尿時の勢いがない、なくなってきた
  • 尿を出そうと思っても、なかなか出てこない。または出せない
  • 排尿後まだ残っているような気がする。または一旦排尿終了したのに再度出てくる
  • 尿に血が混じっている
  • 尿に膿のようなものが混じっている
  • 排尿時にボッコと音がする。または空気を含む
  • 尿検査で蛋白尿や尿潜血を指摘された
  • 背中の脇に鈍痛がある
  • 左右偏りがある下腹部痛
  • 下腹部の違和感
  • 浮腫む

男性泌尿器特有のお悩み

  • 陰茎や陰嚢が痒い
  • 陰茎にできものがある
  • 陰嚢が腫れている
  • 健康診断でPSA値が高いと言われた
  • 包茎で不都合が生じている
  • なかなか勃起しない
  • 性欲が低下してきた
  • 身体がだるくて、疲れやすい

当院で扱う主な泌尿器疾患

  • 前立腺肥大症
  • 前立腺癌
  • 尿路結石
  • 神経因性膀胱
  • 過活動膀胱
  • 腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁
  • 膀胱炎
  • ED
  • 性行為感染症 など

前立腺肥大症

前立腺は膀胱の直下に位置し、尿道の一部を取り囲んでいます。男性にしかない臓器です。30歳ぐらいから内側(尿道周囲)を中心として肥大化し、尿道を圧迫します。そのため尿が出にくくなります。蛇口につけたゴムホースを踏んでいる姿をイメージしてください。日本人では50歳以上2割~3割、80歳以上では8割以上が罹患すると言われており、決して珍しい病気ではありません。原因の全てが解明されているわけではありませんが、加齢と性ホルモンが関与しております。
「排尿の回数が増えてきた」、「急激に尿意が強まることがある」、「トイレまで我慢出来ないことがある」、「夜間に何度もトイレに行く」、「尿が出にくいことがある」などの症状が見られます。
このような排尿困難の状態では、膀胱は過度に圧をかけて尿を出すようにするので、長期放置は膀胱の機能を下げます。いずれ排尿できなくなり、尿路に尿が停滞するため、さらに腎臓が尿を生成排出できなくなり、最終的には腎不全となります。
いかに膀胱の機能を保持するかが治療のポイントとなります。

前立腺癌

前立腺癌は、高齢男性を中心として、よく見られる悪性腫瘍のひとつです。発祥部位が前立腺の辺縁(外側)に好発されるため、初期の段階では、前立腺肥大のように目立った症状はありません。この時点で発見し、治療を開始できたならば、5年生存率は極めて良好です。しかし、発見が遅れて遠隔転移(他の臓器やリンパ節転移)した場合は、他の多くの癌と同様、生命に関わります。前立腺肥大症を患っている方が発症するケースも少なくありません。また遺伝も関与しているとされています。ご家族に癌を罹患した方がいたら要注意です。
症状としては、前立腺肥大症と同様な症状が出現しますが、前立腺外側から発症してきたものが、尿道(内側)近位まで発育増大したため症状が出るので、症状出現時にはかなり進行したことを意味しております。
採血してPSA(前立腺特異抗原)を調べることにより早期発見ができます。癌検診にてPSA測定し異常を指摘されたら直ちに受診してください。PSAはその特異性より直ちに癌を診断するものではありません。癌の診断は受診していただかなくては、できません。
前立腺癌の治療は多岐にわたり、早期であれ予後良好とされております。まず気軽に受診ください。

尿路結石

腎臓でつくられた結石は尿路を下降し排石されることが多いのですが、その途中で定着増大して下降しない場合があります。結石のある場所によって、腎臓なら腎結石、尿管なら尿管結石、膀胱なら膀胱結石、尿道なら尿道結石と言います。
結石が尿路の途中にあり、尿の流出を妨げると、水腎となり腎盂(腎臓内)圧が上昇します。水腎は腎機能低下や、上行感染をきたしたりして、腎機能を低下させます。
このような水腎がある場合は直ちに治療する必要があります。
また結石は突然下降して、血尿や水腎をきたします。この腎盂内圧の急上昇が痛みとなります。そのため、痛みは片側下腹に偏ります。しかしながら、結石が定着し水腎が継続していても、慣れによりその痛みは消失することが多いです。痛みが消失したからといって排石したことにはなりません。
さらに、結石は遺伝的素因の関与もありますが、生活習慣が大いに関与しています。また中年以降の結石患者では腎機能低下し、慢性腎臓病の状態であることも多く、結石は排石すればいいわけではなく、生活習慣病や慢性腎臓病としての治療継続を要します。総合的な治療を必要とします。

神経因性膀胱

膀胱の機能には、尿を体外に排出するポンプとしての機能と、腎臓でできた尿を貯めておく倉庫としての機能があります。
ポンプとして尿を出すには、排出力をもたらす筋肉がしっかり動くこと。また倉庫としては、思いのままに貯めておくことができることが大事です。神経が統制してこの役割をはたしております。
神経因性膀胱は神経統制ができない状態です。過活動膀胱も含まれます。原因は神経障害をきたす脳梗塞などの脳疾患だけでなく脊髄疾患や、薬剤による副作用の場合や、食事などもあります。
このような神経因性膀胱を放置していると、膀胱機能不全により腎臓にも負担をかけ、腎機能が低下します。他に、残尿に細菌が繁殖して尿路感染症(膀胱炎腎盂腎炎)などをきたします。
背景因子まで考えた上での治療が必要となります。

尿失禁

尿失禁とは自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことと定義づけられています。40歳以上の女性の4割以上が経験しており、実際に悩んでおられる方は実は大変に多いのですが、我慢している方がほとんどです。尿失禁の状態や原因に応じてきちんとした治療法がありますので、受診してください。
尿失禁は大きく別けると、次の4つに分類されます。

  • (1)腹圧性尿失禁
  • (2)切迫性尿失禁
  • (3)溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
  • (4)機能性尿失禁
(1)腹圧性尿失禁

お腹に力が入った時に尿が漏れてしまうのが腹圧性尿失禁です。骨盤底筋群という尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が緩むために起こり、加齢や出産を契機に出現したりします。荷重労働や排便時の強いいきみ、喘息なども骨盤底筋を傷める原因になるといわれています。

(2)切迫性尿失禁

急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまうのが切迫性尿失禁です。過活動膀胱の重症型で尿失禁をきたすものでもあります。本来は脳からの指令で排尿はコントロールされていますが、脳血管障害などによりそのコントロールがうまくいかなくなった時など原因が明らかなこともあります。しかし多くの場合、特に原因がないのに膀胱が勝手に収縮してしまい、尿意切迫感や切迫性尿失禁をきたしてしまいます。男性では前立腺肥大症、女性では膀胱瘤や子宮脱などの骨盤臓器脱も切迫性尿失禁の原因になります。

(3)溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

自分で尿を出したいのに出せない、でも尿が少しずつ漏れ出てしまうのが溢流性尿失禁です。この溢流性尿失禁では、尿が出にくくなる排尿障害が必ず前提にあります。排尿障害を起こす代表的な疾患に、前立腺肥大症がありますので、溢流性尿失禁は男性に多くみられます。ほかに、直腸癌や子宮癌の手術後などに膀胱周囲の神経の機能が低下してしまっている場合にもみられます。

(4)機能性尿失禁

排尿機能は正常にもかかわらず、身体運動機能の低下や認知症が原因でおこる尿失禁です。たとえば、歩行障害のためにトイレまで間に合わない、あるいは認知症のためにトイレで排尿できない、といったケースです。この尿失禁の治療は、介護や生活環境の見直しを含めて、取り組んでいく必要があります。

膀胱炎

細菌などの感染が原因となる急性膀胱炎と、間質性膀胱炎など自己免疫疾患が関与する慢性膀胱炎があります。
急性膀胱炎は菌が尿道から侵入して発症します。菌の侵入はよくありますが、通常は感染防御機構が働くため膀胱炎には至りません。しかし、ストレス、疲労、体調不良など一過性の免疫低下が原因で発症することがあります。また神経因性膀胱や膀胱癌、膀胱結石などがあると、細菌は膀胱内で繁殖しやすいため膀胱炎を発症しやすいとされます。市販の抗生剤で完治しても、併発疾患があれば繰り返しますし、癌の場合は発見を遅らせ重症化することも懸念されます。発症に至る背景因子を観察の上治療する必要があります。
急性膀胱炎の主な症状としては、排尿時の痛みや違和感、頻尿、残尿感、下腹部痛、血尿、混濁尿、強い尿臭などがあります。通常は抗菌薬を3~5日間、内服することで治癒します。

間質性膀胱炎は、尿がある程度たまると強い下腹部痛をきたし、頻尿が特徴です。抗生剤では治りません。心因性の頻尿と間違えられやすいので、診断は難しいとされてきました。多くの間質性膀胱炎は、膀胱の血管新生に特徴があります。通常の膀胱鏡では鑑別しにくいのですが、特殊な光を投射することで、血管を浮きぼらすことで診断ができます。当院の内視鏡システムは最新であり、診断に大いに役立つものであります。

膀胱癌

膀胱粘膜(内腔)より発症した癌です。
遺伝的素因だけでなく、タバコや一部の染料が原因となることもあります。
癌においては早期発見が第一ですが、血尿、排尿痛などきたす場合は、それなりの大きさとなっているため、症状出現時は直ちに受診してください。
超音波検査や内視鏡にて診断いたします。癌と確定後はステージ診断(転移や癌の進達度の程度を見極める)の後に方針が立てられます。
根治には手術が原則となります。市内のどの病院とも連携させていただいておりますので、その病状や併存疾患に合わせて紹介させていただきます。
また、膀胱と同様の粘膜として尿管、腎盂がありますので、それらにも癌が発症しないかなど含めた術後管理や定期検査が必要です。当院で術後管理は繊細にさせていただきます。

ED

勃起不全または勃起障害のことを一般的には「ED」と呼んでいます。完全に勃起出来ないことだけを指すわけではなく、「勃起に時間がかかる」、「途中で萎えてしまう」、「満足のいく性行為が出来ない」と感じる人は、いずれもEDの疑いがあります。年齢を重ねるごとに誰もがなり得る症状で、成人男性の4人に1人、50代以上の男性では2人に1人がEDを有するとも言われます。若い方の中にも、勃起障害によって性生活に支障を来たしているケースが少なからずあります。
心因性や薬剤の副作用などもありますが、50代以上の男性では微細な血管の動脈硬化などが原因とされ、老化を含めた血管の状態を反映します。
最近はED治療に効果的なお薬も開発されているので、EDを改善できる症例は多くなっていますが、高血圧、脂質代謝異常、糖尿病などが併発している場合も多く、全身の状態をよく観察する必要があります。

性行為感染症

性的な接触によって発症する感染症の総称で性器クラミジア感染症、淋菌感染症、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、B型肝炎、後天性免疫不全症候群(AIDs)などがあります。
ここでいう性的な接触とは、男女間の性交渉に限らず、オーラルセックスやアナルセックスも含みます。性感染症の症状は必ずしも性器に起こるばかりではなく、口腔内やそのほか全身各所に症状が出現します。STDを考えるうえで重要なのは、病原体に感染したからといって必ずしも明らかな自覚症状を伴うわけではないことです。すなわち、無症状でも病原体に感染していることがあるため、知らないうちに他人に感染を拡大させてしまうリスクがあります。STDに対して治療介入を行うことで、病状をコントロールしたり、病気によっては完全に病原体を体内から排除したりすることも可能です。完全に病原体を排除しないと、相手にうつし、また自分が回復した頃にその相手から再度感染するなど病原体が卓球のボールのように両者を行き来して感染し続ける場合もあります。女性においては不妊症の原因となることもあります。病原体が完全に排除されるように治療することは極めて重要です。

主な泌尿器科特有の疾患は上記のごとくですが、各疾患それぞれが単一素因(要因)で発症するわけではありません。
遺伝、生活習慣など含めた環境や病歴、その状況におかれる経過時間など多因子(要因)を考慮した上で、診断する必要があります。